不良に復讐をしよう【1】
- 2015/10/31
- 14:35
不良に復讐をしよう【1】
オレの名前は仙道蓮、一橋高校で不良をやっている。
普段はダチと授業をボイコットしたり、
昼過ぎから授業に出てきたり、
キモオタどもをいじめて過ごしている。
それについて教師はいじめを見て見ぬふり。
教育委員会と、もめるのが嫌なのだろう。
典型的な腐った学校だ。
ま、それだからオレみたいな不良が
過ごしやすいんだがな。
今日の放課後も、キモオタどもに命令し、
焼きそばパンとコーヒー牛乳を買いに行かせている。
「チッ、それにしても竜太と啓一がいねえとつまんねえな」
不良仲間の竜太と啓一が学校を休んでいるので暇だ。
「あいつらも連絡ぐらい寄越せっての」
肩までかかる長髪をいじりつつ不満をぼやいていると、
パシらせた2人のキモオタが
よたよたとビニール袋を手に持って駆け寄ってきた。
「ハァ、ハァ。 遅れましてすみません蓮様」
「遅えんだよ、豚ども」
「ご、ごめんなさいでふ」
見れば、汗をダラダラとかいたキモ顔が目に映る。
制服のボタンが弾け飛びそうなほど
豚みたいに肥え太り、学年で「デブメガネ」といえば
コイツといわれるくらいのデブ。
黒い丸ブチメガネの斎藤祐介。
祐介の隣にいるのは
ガリガリのやさ男。木戸駿。
いつも、青ざめた顔をしている根暗。
オレがよく使うパシリのメンツである。
「……あの」
木戸がビニール袋をオレに差し出す。
「ホットドッグとコーヒー牛乳を買ってきました」
「あ? ホットドッグだと?」
ビニール袋の中身を確認すると、
確かに焼きそばパンの姿はない。
「はい、ホットドッグとコーヒー牛乳を……」
「は?ちげーだろ? 木戸」
「オレは焼きそばパンって言ったんだけど?」
「あ…、ご、ごめんなさい」
「また間違えたのか。本っ当にお前ら使えねえな」
「パシリも出来ないとか、ハハッ終わってる」
「これ、お前らのミスだから代金はお前ら持ちな」
「えっ……そんな」
「仕方ないよなぁ、オレは焼きそばパンを
買ってきて欲しかったんだからよ?」
「これで我慢してやっているんだから、ありがたいと思えよ」
オレはビニール袋からコーヒー牛乳を取り出し、ストローを突き刺す。
「まぁ、お詫びとして、てめぇらはオレがこれを食い終わるまで、
そこで土下座でもしてろ。 ヒハハハッ」
「ううっ……」
木戸は弱々しい声で呻き、祐介と土下座の姿勢をとった。
「ハハ、ざまあみろ」
コーヒー牛乳を飲みながら、知らない奴の机に座る。
高いところに座ってゴミみたいな連中を見下すのは
王様にでもなった気分がするぜ。
ズズー
「あー、旨ぇ」
「やっぱ、コーヒー牛乳は旨ぇな」
……ってあれ、何だ?
眠くなってきたぞ……?
視界がぼんやりしてきた。
「大丈夫ですか、蓮様」
木戸が心配してくる。
「あ? うっせーな。 少し…眠いだけだ…」
語気に力がない。
「本当に大丈夫ですか? なんか顔色が悪いですよ」
木戸の顔が3つにブレて見える。
「……うるせー…っつってんだ……よ………」
意識が遠くなってきた……
駄目だ。眠い。もう、耐えられない。
バタリ!
そこでオレは意識を失った。意識がなくなる間際、
木戸と祐介がオレを見て笑っているようだったが…まさか……
「う……ここは?」
気が付くと、すす汚れた天井が見えた。
まだ意識がおぼろげなオレは何が起きているのか最初は
よくわからなかった。
「理科実験室か…?」
オレは理科実験室の机の上に寝かされており、
視界には薬品で変色した水道やフラスコが見えた。
いつの間に、こんなところに
連れてこられたんだ。
大の字になって寝ているみたいだが、
なぜだか体がしびれてうまく動かせない。
さらに裸にされている。
いったいどうなってんだ?
「やぁ、気づいた?」
声のする方へかろうじて動かせた首を向ける。
そこには、数人の男子学生が立っていた。
「お、お前ら……!!」
よく見れば、男子学生は全員、
オレがいじめている奴らだった。
木戸も祐介もいた。
「オイ、何だテメーら。気が付いたってどういう意味だ?」
オレが声を荒げると、木戸が前に出てきた。
「いやなに。 君のコーヒー牛乳に睡眠薬を入れていたんだけど、、
入れる量を間違えてしまったので、君が起きるのを待っていたんだよ」
「睡眠薬だと!?」
睡眠薬を飲まされたという事実以上に、
さらっと犯罪臭のする言葉を出した
木戸に対して驚きを隠せない。
しかもコイツ、態度まででかくなっている気がする。
「これは全部お前らのしわざか」
「そのとおり」
木戸は表情も変えず即答する。
「あなたに復讐しようと思っていたから、これくらいは当然。
眠らせた後にいたぶってもいいけど、
蓮の目の前でやった方が面白いしね」
「てめぇ、木戸!! ふざけんな!!身体がしびれてんのも、お前らのせいか」
「そうだよ、無反応は面白くないけど、抵抗されたら困るからね。
身体の自由は奪わせてもらった」
「ちきしょう……マジふざけんなよ……」
「で、後はコレを飲ませるだけ♪」
そう言うと、木戸は後ろ手からペットボトルを取り出した。
中身は白くドロっとした液体が入っている。
「これ以上何か飲ませようってのか、やめろ、オイ!」
「これはね、Xドリンクといって
飲んだ人間の身体を粘土のようにしてしまう不思議な飲み物なんだ」
「はあっ!?」
Xドリンクだと!?
そんな話、非現実的にも程がある。
「んー、まだ信じないみたいだね。その気持ちはよく分かるよ」
「でも、僕は違った。最初にこれの存在を知ったとき、
心が晴れ渡るような気持ちだったよ」
木戸は今まで見たことないくらい興奮していた。
「その後、僕は使い方を考えていた」
「これがあれば、僕みたいなガリガリのもやしを
筋肉モリモリマッチョマンに変えることだってできる」
「太り気味の斎藤君の身体を引き締めて、
クラスの女の子が皆振り向くようなイケメンにだってできる」
「もちろん、男の身体を女の子に作り変えることだって可能なんだ」
その発言を聞いた瞬間、非現実的な話だと思っていても
俺の背筋を冷や汗が流れ落ちた。
「で、思ったんだけど」
「僕たちってキモオタだよね?」
「それが、なんだよ」
「女の子と付き合う機会もないし、ましてお喋りだって出来ない。
でも、女の子とセックスしてみたくてたまらない」
「だから、それがどうしたって言うんだよ!」
「いや、ニブいなぁ」
「身体を自由に作り変えられる薬で、
君を女の子にして、輪姦しようって思ったのさ」
「は……?」
コイツ正気か!?
「皆で一気に脱童貞だ♪」
「…あ、違った。先に君の友達で試したから、もう童貞じゃなかったんだ」
「なんだと!」
「まさか、竜太と啓一を……!!」
「ご名答だよ、蓮君」
木戸は不敵に笑う。
「彼らにやったら、あまりにもショックすぎて、
学校に来れなくなっちゃったみたいだねぇ」
なんて奴だ……狂ってやがる。
「でも、2人ともイきまくって最後なんて自分からヨガってたし、
今ごろは自宅でオナニーでもしているのかもね」
木戸がそう言うと、後ろから話を聞いていた祐介が、
つばをからませたような耳障りな声を出す。
「ねぇ~ねぇ~、木戸殿」
「なんだい?」
「木戸殿の話を聞いたら、なんだか勃起してきたでござる、フヒヒッ」
「蓮たんはどんな声で喘ぐのか、今から楽しみでふ」
クソ、祐介の野郎!マジでキモいな。
しびれがとれたら、半殺しにしてやる。
「そうだね、斎藤君。もう待ちきれないよね」
木戸の口が釣り上がって、気味の悪い笑みをうかべる。
「じゃあ、もうXドリンクを飲ませよう」
そう言うと、木戸と祐介が近づいてきた。
蓮の口を力づくで開けようとするものの、
蓮は頑なに口を閉ざす。
「んんん…」
そんな変なモンを飲んでたまるか!
「やっぱり抵抗するんだね、じゃあ…」
木戸は蓮の鼻をつまみ、呼吸できないようにした。
「んんっ!?」
く、苦しい……でも、口を開けるわけには……
抵抗していたものの、我慢ができなくなり口を大きく開けてしまった。
その隙を逃さず、祐介はオレの頭を持って支え、
木戸がペットボトルをオレの口につける。
Xドリンクがどんどんオレの中に流れ込んでくる。
「う…」
ゴクッゴクッゴクッ
カルピスみたいな味がする液体だ。
「ふふふ、飲んだ飲んだ♪」
「げっ、ぺっぺっ」
Xドリンクを吐き出そうとしたが全然出てこない。
「無駄だよ、もう諦めなよ」
「うっせー! テメーらの指図なんか受けるか!!」
「はー、うるさいなー」
木戸は迷惑そうに蓮を見る。
「蓮の声はうるさいし、まずは声帯から作り変えようか」
「拙者がやるでござるよ」
「小生、深夜アニメを毎期欠かさず見ているから、
声については心得があるでござるよ」
祐介の手がオレの首をなでている。
そして、首に両手を回すと、
上下にゆっくりとしごいていった。
「フヒヒ、喉仏をなくして、と」
「祐介、てめぇ気持ち悪……って、何だ? 声が!?」
オレの声はすっかり女のような、か細い声に変わっていた。
痛みはなかった。しかし、あまりにも簡単すぎる。
「デュフフ、出来たでござる」
「蓮たんがさくらあ◯ねみたいな声になって、
声を聞くだけで拙者の息子がいきり勃ってきたで候」
(続く)
オレの名前は仙道蓮、一橋高校で不良をやっている。
普段はダチと授業をボイコットしたり、
昼過ぎから授業に出てきたり、
キモオタどもをいじめて過ごしている。
それについて教師はいじめを見て見ぬふり。
教育委員会と、もめるのが嫌なのだろう。
典型的な腐った学校だ。
ま、それだからオレみたいな不良が
過ごしやすいんだがな。
今日の放課後も、キモオタどもに命令し、
焼きそばパンとコーヒー牛乳を買いに行かせている。
「チッ、それにしても竜太と啓一がいねえとつまんねえな」
不良仲間の竜太と啓一が学校を休んでいるので暇だ。
「あいつらも連絡ぐらい寄越せっての」
肩までかかる長髪をいじりつつ不満をぼやいていると、
パシらせた2人のキモオタが
よたよたとビニール袋を手に持って駆け寄ってきた。
「ハァ、ハァ。 遅れましてすみません蓮様」
「遅えんだよ、豚ども」
「ご、ごめんなさいでふ」
見れば、汗をダラダラとかいたキモ顔が目に映る。
制服のボタンが弾け飛びそうなほど
豚みたいに肥え太り、学年で「デブメガネ」といえば
コイツといわれるくらいのデブ。
黒い丸ブチメガネの斎藤祐介。
祐介の隣にいるのは
ガリガリのやさ男。木戸駿。
いつも、青ざめた顔をしている根暗。
オレがよく使うパシリのメンツである。
「……あの」
木戸がビニール袋をオレに差し出す。
「ホットドッグとコーヒー牛乳を買ってきました」
「あ? ホットドッグだと?」
ビニール袋の中身を確認すると、
確かに焼きそばパンの姿はない。
「はい、ホットドッグとコーヒー牛乳を……」
「は?ちげーだろ? 木戸」
「オレは焼きそばパンって言ったんだけど?」
「あ…、ご、ごめんなさい」
「また間違えたのか。本っ当にお前ら使えねえな」
「パシリも出来ないとか、ハハッ終わってる」
「これ、お前らのミスだから代金はお前ら持ちな」
「えっ……そんな」
「仕方ないよなぁ、オレは焼きそばパンを
買ってきて欲しかったんだからよ?」
「これで我慢してやっているんだから、ありがたいと思えよ」
オレはビニール袋からコーヒー牛乳を取り出し、ストローを突き刺す。
「まぁ、お詫びとして、てめぇらはオレがこれを食い終わるまで、
そこで土下座でもしてろ。 ヒハハハッ」
「ううっ……」
木戸は弱々しい声で呻き、祐介と土下座の姿勢をとった。
「ハハ、ざまあみろ」
コーヒー牛乳を飲みながら、知らない奴の机に座る。
高いところに座ってゴミみたいな連中を見下すのは
王様にでもなった気分がするぜ。
ズズー
「あー、旨ぇ」
「やっぱ、コーヒー牛乳は旨ぇな」
……ってあれ、何だ?
眠くなってきたぞ……?
視界がぼんやりしてきた。
「大丈夫ですか、蓮様」
木戸が心配してくる。
「あ? うっせーな。 少し…眠いだけだ…」
語気に力がない。
「本当に大丈夫ですか? なんか顔色が悪いですよ」
木戸の顔が3つにブレて見える。
「……うるせー…っつってんだ……よ………」
意識が遠くなってきた……
駄目だ。眠い。もう、耐えられない。
バタリ!
そこでオレは意識を失った。意識がなくなる間際、
木戸と祐介がオレを見て笑っているようだったが…まさか……
「う……ここは?」
気が付くと、すす汚れた天井が見えた。
まだ意識がおぼろげなオレは何が起きているのか最初は
よくわからなかった。
「理科実験室か…?」
オレは理科実験室の机の上に寝かされており、
視界には薬品で変色した水道やフラスコが見えた。
いつの間に、こんなところに
連れてこられたんだ。
大の字になって寝ているみたいだが、
なぜだか体がしびれてうまく動かせない。
さらに裸にされている。
いったいどうなってんだ?
「やぁ、気づいた?」
声のする方へかろうじて動かせた首を向ける。
そこには、数人の男子学生が立っていた。
「お、お前ら……!!」
よく見れば、男子学生は全員、
オレがいじめている奴らだった。
木戸も祐介もいた。
「オイ、何だテメーら。気が付いたってどういう意味だ?」
オレが声を荒げると、木戸が前に出てきた。
「いやなに。 君のコーヒー牛乳に睡眠薬を入れていたんだけど、、
入れる量を間違えてしまったので、君が起きるのを待っていたんだよ」
「睡眠薬だと!?」
睡眠薬を飲まされたという事実以上に、
さらっと犯罪臭のする言葉を出した
木戸に対して驚きを隠せない。
しかもコイツ、態度まででかくなっている気がする。
「これは全部お前らのしわざか」
「そのとおり」
木戸は表情も変えず即答する。
「あなたに復讐しようと思っていたから、これくらいは当然。
眠らせた後にいたぶってもいいけど、
蓮の目の前でやった方が面白いしね」
「てめぇ、木戸!! ふざけんな!!身体がしびれてんのも、お前らのせいか」
「そうだよ、無反応は面白くないけど、抵抗されたら困るからね。
身体の自由は奪わせてもらった」
「ちきしょう……マジふざけんなよ……」
「で、後はコレを飲ませるだけ♪」
そう言うと、木戸は後ろ手からペットボトルを取り出した。
中身は白くドロっとした液体が入っている。
「これ以上何か飲ませようってのか、やめろ、オイ!」
「これはね、Xドリンクといって
飲んだ人間の身体を粘土のようにしてしまう不思議な飲み物なんだ」
「はあっ!?」
Xドリンクだと!?
そんな話、非現実的にも程がある。
「んー、まだ信じないみたいだね。その気持ちはよく分かるよ」
「でも、僕は違った。最初にこれの存在を知ったとき、
心が晴れ渡るような気持ちだったよ」
木戸は今まで見たことないくらい興奮していた。
「その後、僕は使い方を考えていた」
「これがあれば、僕みたいなガリガリのもやしを
筋肉モリモリマッチョマンに変えることだってできる」
「太り気味の斎藤君の身体を引き締めて、
クラスの女の子が皆振り向くようなイケメンにだってできる」
「もちろん、男の身体を女の子に作り変えることだって可能なんだ」
その発言を聞いた瞬間、非現実的な話だと思っていても
俺の背筋を冷や汗が流れ落ちた。
「で、思ったんだけど」
「僕たちってキモオタだよね?」
「それが、なんだよ」
「女の子と付き合う機会もないし、ましてお喋りだって出来ない。
でも、女の子とセックスしてみたくてたまらない」
「だから、それがどうしたって言うんだよ!」
「いや、ニブいなぁ」
「身体を自由に作り変えられる薬で、
君を女の子にして、輪姦しようって思ったのさ」
「は……?」
コイツ正気か!?
「皆で一気に脱童貞だ♪」
「…あ、違った。先に君の友達で試したから、もう童貞じゃなかったんだ」
「なんだと!」
「まさか、竜太と啓一を……!!」
「ご名答だよ、蓮君」
木戸は不敵に笑う。
「彼らにやったら、あまりにもショックすぎて、
学校に来れなくなっちゃったみたいだねぇ」
なんて奴だ……狂ってやがる。
「でも、2人ともイきまくって最後なんて自分からヨガってたし、
今ごろは自宅でオナニーでもしているのかもね」
木戸がそう言うと、後ろから話を聞いていた祐介が、
つばをからませたような耳障りな声を出す。
「ねぇ~ねぇ~、木戸殿」
「なんだい?」
「木戸殿の話を聞いたら、なんだか勃起してきたでござる、フヒヒッ」
「蓮たんはどんな声で喘ぐのか、今から楽しみでふ」
クソ、祐介の野郎!マジでキモいな。
しびれがとれたら、半殺しにしてやる。
「そうだね、斎藤君。もう待ちきれないよね」
木戸の口が釣り上がって、気味の悪い笑みをうかべる。
「じゃあ、もうXドリンクを飲ませよう」
そう言うと、木戸と祐介が近づいてきた。
蓮の口を力づくで開けようとするものの、
蓮は頑なに口を閉ざす。
「んんん…」
そんな変なモンを飲んでたまるか!
「やっぱり抵抗するんだね、じゃあ…」
木戸は蓮の鼻をつまみ、呼吸できないようにした。
「んんっ!?」
く、苦しい……でも、口を開けるわけには……
抵抗していたものの、我慢ができなくなり口を大きく開けてしまった。
その隙を逃さず、祐介はオレの頭を持って支え、
木戸がペットボトルをオレの口につける。
Xドリンクがどんどんオレの中に流れ込んでくる。
「う…」
ゴクッゴクッゴクッ
カルピスみたいな味がする液体だ。
「ふふふ、飲んだ飲んだ♪」
「げっ、ぺっぺっ」
Xドリンクを吐き出そうとしたが全然出てこない。
「無駄だよ、もう諦めなよ」
「うっせー! テメーらの指図なんか受けるか!!」
「はー、うるさいなー」
木戸は迷惑そうに蓮を見る。
「蓮の声はうるさいし、まずは声帯から作り変えようか」
「拙者がやるでござるよ」
「小生、深夜アニメを毎期欠かさず見ているから、
声については心得があるでござるよ」
祐介の手がオレの首をなでている。
そして、首に両手を回すと、
上下にゆっくりとしごいていった。
「フヒヒ、喉仏をなくして、と」
「祐介、てめぇ気持ち悪……って、何だ? 声が!?」
オレの声はすっかり女のような、か細い声に変わっていた。
痛みはなかった。しかし、あまりにも簡単すぎる。
「デュフフ、出来たでござる」
「蓮たんがさくらあ◯ねみたいな声になって、
声を聞くだけで拙者の息子がいきり勃ってきたで候」
(続く)